我が国に必要なイノヴェーションとは

2022.07.20

前回では、なぜ我が国でイノヴェーションが起きないのかという考察を致しましたが、今回は『なぜイノヴェーションが必要なのか、また我が国ではどの様なイノヴェーションが必要か』について考えていきます。


我が国の科学技術はロボット工学やコンピューター・サイエンス分野を含め十分に発達充実しており、世界的に牽引しているようにも見えますが、なぜ更なる高みを目指す必要があるのでしょうか?


それは世界のトレンドが絶えず変化しているからではないでしょうか。

現代世界は「VUCA」の時代と呼ばれていています。

「VUCA」とは、

V: Volatility (変動性)

U: Uncertainty (不確実性)

C: Complexity (複雑性)

A: Ambiguity (曖昧性)

の4つの要素で構成されており、「VUCA」時代には予測が困難な事象が発生します。

日々、気候変動や移民問題、パンデミック、地政学リスクに伴った安全保障など新しい問題が発生している中で、我が国においては、例えば少子高齢化問題が重要視されており、こうした変化する世界に対して、

1.前例のない問題が発生した場合、それに対応できるシステムを構築するため

2.絶え間ないトレンド変化により、技術需要に影響を及ぼすため

上記2点の理由からイノヴェーションの更なる高みを目指す必要性を見出すことができます。


我が国では、イノヴェーションの場としてSociety 5.0(第5期科学技術基本計画)という科学技術政策(参考)を提唱しております。

Society 5.0では、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムを取り入れ、その中でもInternet of Things(都市環境に関するリアルタイムデータを収集、共有、分析するために接続されたデヴァイスの世界的に拡大し続けるネットワーク)を用いて収集されたデータを使って犯罪や環境汚染、交通渋滞を減らし、災害への備えを改善します。

しかしながら同時にInternet of Thingsを用いる際にはプライヴァシーやセキュリティなどの問題も懸念されるので、注意が必要です。


このSociety5.0を具現化するには社会を変革する『トランスフォーマティブ・イノヴェーション』の創出が必要となり、これが、制度・インフラストラクチャー・人間の行動様式などのシステム・レヴェルの変化をもたらすイノヴェーションとなります。(参考


これを推進・達成することでJapan Modelが確立され、我が国のトレンドが世界のトレンドや国際社会を牽引し、弊研究所の掲げているヴィジョン『Pax Japonica(パックス・ジャポニカ』の実現にも繋がるのではないでしょうか。


前回のイノヴェーションに関する記事はこちらからご覧ください。

Pax Japonica (パックス・ジャポニカ) へ続く道~なぜ我が国でイノヴェーションが起きないのか~ | RIJAG|一般社団法人日本グローバル化研究機構

社会貢献事業担当 中野陽子 拝