我が国における幸福の高さ(Well-being)は、本当の幸福につながっているのか。

2022.07.12

今回は、日本語で「幸福」や「健康」と訳される我が国における『Well-being』について考えていきます。

Well-beingは今までに沢山の定義が提唱されてきていますが、

Well-beingという言葉が普及してきたのは1947年に採択されたWHO憲章(世界保健機関)からと言われています。

“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity”

「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。」(日本WHO協会訳)


それでは、我が国におけるWell-beingはどのように考えられるのでしょうか?

OECD(経済協力開発機構)はWell-beingを11項目に分けて測定されています。

①所得と富 ②住宅 ③雇用と仕事の質 ④健康状態 ⑤知識と技能 ⑥環境の質 ⓻主観的幸福 ⑧安全 ⑨仕事と生活のバランス ⑩社会とのつながり ⑪市民参加です。

この中で我が国が高く評価されている項目としては、 ③雇用と仕事の質 ④健康状態 ⑤知識と技能 そして ⑧安全 です。


具体的な測定基準としているのは③雇用と仕事の質においては就業率、④健康状態においては平均余命、⑤知識と技能においては科学分野の学生の技能、そして⑧安全においては殺人件数です。

ここで注意してほしいのは、測定基準が一つしか設定されていないため高く評価されているからといってその項目に関する要素が全て良いというわけではありません。


また、評価が高い項目でも、上位層と下位層のギャップ/不平等があることもあります。

例えば⑤知識と技能は高く評価されている一方、不平等さが大きいというデータがあります。知識と技術における不平等さとは”低技能の学生”です。これは、人によって学歴のギャップがあるという解釈ができます。

(出典:Pixabay)

また、Well-beingはSDGs目標3でも”Good Health and Well-being/すべての人に健康と福祉を”(ここでは福祉と訳されている)と設定されているだけでなく、グローバルレベルの多数の企業においてもWell-beingが重要視されています。

このように、Well-beingの向上/改善をすることで、世界をリードしていくPax Japonicaの実現にも大きく影響を与えます。弊研究所では東大生に対するゼミの開講といった教育といった側面からの社会貢献事業を通して我が国のWell-beingの意識を高め、改善に努めています。

次回は我が国におけるWell-beingの欠乏している項目について考えていきたいと思います。

また、食糧危機問題から我が国の未来を考えるも下記からご覧いただけます。

食糧危機問題から我が国の未来を考える | RIJAG|一般社団法人日本グローバル化研究機構

参照:

OECD. 2022. How’s Life in Japan. Available at < How’s Life in Japan? | How’s Life? 2020 : Measuring Well-being | OECD iLibrary (oecd-ilibrary.org)> [Accessed on 12 July 2022].


一般社団法人日本グローバル化研究機構(RIJAG)
社会貢献事業担当 中野陽子拝