企業の社会貢献とピーター・ドラッカー(“情報リテラシー”教育の発展とその向こう側(Vol.13))

2024.11.21

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以前ブログで「経営学の父:ピーター・ドラッカー」について取り上げたが覚えているだろうか。(ブログはこちら:P.F.ドラッカーとは何者か? (“情報リテラシー”教育の発展とその向こう側(Vol.8)))今回は、弊研究所の社会貢献事業についてドラッカーの言葉を紹介しながら紹介したい。

弊研究所は「社会貢献事業」が活動の中核を担っている。我々はこれを会員制サーヴィス「原田武夫ゲマインシャフト」の会費から生じる利益の50パーセントを用いて行っており、同会員制サーヴィスにご入会いただいた会員様には、弊研究所を通じた社会貢献事業に参画いただいている。

(写真1:弊研究所オフィス)

(参照:筆者撮影)

弊研究所が掲げるヴィジョンは「Pax Japonica(パックス・ジャポニカ)」、つまりは日本の平和の実現である。弊研究所の社会貢献事業報告書(2023年度 社会貢献事業報告書(日本語版)ダウンロードはこちら2023 度社会貢献事業報告書(英語版)ダウンロードはこちら)では、「Pax Japonica(パックス・ジャポニカ)」を以下のように定義している。

“Pax Japonica”とは?

①未来シナリオの構築を行うことで予見的ガヴァナンスの見地に立ちながら

②リスクフリーな環境整備を行いつつ

③パブリック・エンゲージメント(Public Engagement)を伴う先端技術の社会的実装を我が国においてまずは実現し

④そこで達成する「人類全体に共通する課題の数々(Grand Challenge(グランド・チャレンジ))」の解決、さらには望ましい現実(国連「持続可能な開発目標(SDGs)」等に記されているゴールに到達した場合の未来図等)の創造のための具体的な手法を、今度はグローバル社会全体に転移させていくプロセスを通して、近未来のモデルを提示する

少し嚙み砕いてみよう。弊研究所が年に2回発行している「予測分析シナリオ®」は、過去を正しく理解した上で、将来予想される状況を複数予見し、最も現実性の高い未来像を弊研究所独自の未来シナリオとして、会員の皆様へ提供させていただいている。我々はこれを根底としつつ、会員の皆様をはじめとする社会を構成する市民の理解が得られるような説明を十分に行いながら、「先端科学技術」と呼ばれる最新の技術の研究に携わっている。我々は、これを実験室で留まらせるのではなく、課題先進国と呼ばれる我が国において社会実装することが、グローバル社会に大きく、ポジティブな影響を与えると確信している。また現在グローバル社会では、例えば、国連が提唱する169のターゲットと17の目標から成るSDGs(持続可能な開発目標)を未来において達成したい「望ましい未来像」としている。しかし、現状このまま社会変革がない場合、これを実現するのは非常に困難であるとみられる。「望ましい未来像」を仮に「B」と呼び、過去を正しく理解した上で単純に予測される未来像を「A」とする場合、「A→B」を実現するための方法が、弊研究所では“先端科学技術の社会実装”であると考えているのである。したがって、「A」および「B」のギャップを着実に埋めるために行っている弊研究所の活動を「社会貢献事業」と呼んでいる。

(図1:「A→B」を表す)

(参照:筆者作成)

 また、弊研究所のミッションは「Giving the People Hope and Future(我が国と世界のすべての人々に希望と未来がもたらされること)」である。対象を国内に留めることなく、あらゆる違いを超えた場において、“アントレプレナーシップ教育”を通じた人財の育成と助言を積極的に行っている。具体的には、2023年度に実施した会員制サーヴィス「原田武夫ゲマインシャフト」会員様(ブロンズ会員以上の会員ランク)のご子息・ご息女を対象とした短期集中型の「IISIA・サマースクール」では、弊研究所ファウンダー/代表取締役CEO・原田武夫と社会貢献事業部所員による講義を行い、“学校では培うことが難しい学び”が提供された。

(イメージ1:IISIA・サマースクール)

(参照:弊研究所作成)

今年度は、東京大学1年生向け主題科目「UT-ONE(ユーティーワン)」という、ソニー東大社会連携講座Ignite Your-Ambitionが東京大学教養学部の新入生向けに開講するアントレプレナーシップ講義に参画した。実施した5月と7月合わせて54名に企業訪問という形でご来社いただき、弊研究所のヴィジョンやミッションを解説した。またこの延長線上で、9月より「IISIA読書会」という、まさに“過去を正しく知り、未来を見据えるアントレプレナーシップ教育”を実施している。内容としては、テーマに沿った課題図書が2~3冊指定され、各学生がこれを精読した上で、IISIA読書会内でグループ毎10分間のプレゼンテーションを行う。これをもって、弊研究所代表・原田武夫による解説とそれに対するレクチャーが行われるというものである。学生からは「ある仮説を、膨大な資料の読解の上に成り立つ議論を通じて検証し、背後にある構造を紐解いていくインテリジェンスの技術に驚嘆した。」や「2045年までの間、社会のシステムが変わっていくことを考えると、僕が大学を卒業する頃にも結構変わっているだろうと感じました。歴史などの知識が全然足りていないことを痛感させられます。色々もっと本読んでいこうと思います。」のように、学生の知識欲が掻き立てられている様子がわかる。

(写真2:IISIA読書会の様子)

(参照:筆者撮影)

さらに弊研究所代表・原田武夫は、京都産業大学大学院京都文化学研究科修了(京都文化学専攻(歴史地理学))、放送大学大学院修了(文化科 学専攻(人文学)) 、立教大学大学院人工知能科学研究科修了(人工知能科学専攻(人工知能科学))と、3つの修士号を取得した上で、大阪公立大学産学連携教育イノベーター育成プログラム(アントレプレナーシップ教育力育成コース)を修了。現在までに、東京大学教養学部における全学自由研究ゼミナール、学習院女子大学非常勤講師(「外交官」「国際礼儀」に関する講義を行う)、広島大学客員准教授(「スポーツ経営学」に関する講義を行う)などを歴任し、未来の輝くイノヴェーションを創造する若者に対する助言を、積極的に行っている。今後も弊研究所は全力を挙げて、

以上のような“アントレプレナーシップ教育”に積極的に携わらせていただく所存である。

さて、なぜ我々は「社会貢献事業」をするのか。

金儲けが目当てであれば、わざわざ「社会貢献事業」をする必要はないのではないだろうか。

経営学の父と呼ばれているピーター・ドラッカーが、「マネジメント」という観点から、企業が社会に与える影響について述べていた。少し長いが引用する。

第三に、マネジメントには、自らの組織が社会に与える影響を処理し、それとともに社会の問題を解決に貢献する役割がある。いかなる組織も社会の機関であって、社会のために存在する。企業も例外ではない。事業に優れているだけでは、企業はその存在を正当化されない。社会の存在として優れていなければならない。組織は、組織の外の世界に貢献するために存在する。外の人たちに何かを供給し、満足してもらうために存在する。企業は、働く者に仕事を与え、株主に配当を与えるために存在するのではない。消費者に対し財とサービスを供給するために存在する。病院は、医師や看護師のために存在するのではない。早く退院して、二度と入院したくないと願う患者のために存在する。学校は、先生のためではなく生徒のために存在する。これらのことを忘れたマネジメントは、マネジメントではない。[Drucker12,p60-61]」

(写真3:経営の真髄―知識社会のマネジメント―(上))

(参照:筆者撮影)

ここまではっきりと、「社会貢献」について言及するピーター・ドラッカーを私は心から尊敬する。この彼の言葉が、先の質問に対する回答ではないだろうか。

筆者である私は、先日11月14日(木)・15日(金)にオーストリア・ウィーンで開催された「第16回グローバル・ピーター・ドラッカー・フォーラム(以下、ドラッカーフォーラム)」に、弊研究所所員として参加させていただいた。このフォーラムは、1909年にウィーンで生まれたピーター・ドラッカーを讃えて、2009年から毎年行われているイベントである。ドラッカーフォーラムには、世界で最も影響力がある経営思想家ランキング“Thinkers 50”の受賞者や、世界中で名を馳せる有名ブランドの経営戦略担当者や世界トップ大学の教授など、実にハイレベルな方々が勢揃いであった。そこで得た学びは、改めて弊研究所会員制サーヴィス「原田武夫ゲマインシャフト」の会員様限定でお伝えさせていただく所存である。詳細が、弊研究所公式ホームページ及び会員様限定コミュニティ「IISIA NEST」等で投稿されるまで、今しばらくお待ちいただきたい。

(写真4:ドラッカーフォーラムの様子)

(参照:会場にて撮影)

最後に、弊研究所の社会貢献事業は今回のブログではお伝えしきれないため、また次回以降もご紹介させていただきたい。ドラッカーフォーラム報告会の続報と次回ブログをお楽しみに。

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※当ブログの記述内容は弊研究所の公式見解ではなく、執筆者の個人的見解です。

事業執行ユニット 社会貢献事業部 田中マリア 拝

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[関連記事](タイトルをクリックすると記事へ飛びます。)

偉大な小国:オランダ王国を知る (“情報リテラシー”教育の発展とその向こう側(Vol.12))

・教育から「知識社会」を読み解く (“情報リテラシー”教育の発展とその向こう側(Vol.9))

・P.F.ドラッカーとは何者か? (“情報リテラシー”教育の発展とその向こう側(Vol.8))

[参考文献]

・[Drucker12]P.F.ドラッカー著,ジョセフ・A・マチャレロ編,上田惇生訳「経営の真髄―知識社会のマネジメント―(上)」,ダイヤモンド社,2012.